2019年03月07日

植物個人輸入の防備録

ブラックサポテの苗をオーストラリアから輸入しました。
個人輸入に踏み切った理由は、一本ブラックサポテを持っているのですが花は咲くものの結実しないため、ブラックサポテを追加したいと考えました。しかし、日本では実生のブラックサポテしか売っていないようなので、ちゃんとした品種の接木苗を探したところオーストラリアでしか売っていなかった為です。

ここでは、ブラックサポテ輸入の顛末を書きたいと思います。
同じ様に海外から日本に売っていない植物が欲しいとお悩みの方の参考になればと思っています。(尚、お金は結構掛かります。)

はじめに
海外から植物を持ち込むためには次の様な障壁が有って、それらをクリアしなければなりません。

1. 輸入する植物の決定
2. 輸入する国の決定
3. 輸入可能な植物か?
4. 輸入に必要な書類の作成・申請、土の除去等
5. 輸入のコスト
6. 輸送中の環境

このうち、一番大変な 4の部分は代行をしてくれる業者(*1)がありますが、その他は自分で考える必要があります。
*1 今回は AmiamieAustraliaさんにお願いしました。

1. 輸入する植物の決定
まず、何を買うかを決めなければなりません。
これが結構大変でした。

今回の目的の結実するブラックサポテの組み合わせに関する情報がどこにもなく、色々検索して "small fruits that may be completely seedless if not cross pollinated."という記述から superbという品種は一本でもなるんだろうと、ブラックサポテを販売しているサイトの「1本でも結実した」という口コミから bernickerを買うことにしました。

2. 輸入する国の決定
googleや ebay.com、amazon.comで、"black sapote" + priceで売っている所を探しても、実生のブラックサポテしか日本へ送ってくれるところがありません。
品種を明示して販売しているのはオーストラリアの業者だけだったので、オーストラリアから輸入することにしました。(昨年は ebay.comで Bernickerが売りに出されていたので、タイミングが合えばアメリカからも買るかもしれません。)

3. 輸入可能な植物か?
植物を輸入する場合、海外から日本にいない病害虫を持ち込まない様に植物検疫を受けなければなりません。
その際には輸出国や植物、その部位によって、色々輸入出来る条件が変わってきます。

  そのため、輸入したい植物がそもそも輸入可能なのか、可能ならどういった条件の元輸入可能なのかを知る必要があります。(輸入可能でも、植物検疫所で 1年以上の隔離栽培が必要というものもあります。)

「輸入条件に関するデータベース」というページが有って、輸出国の情報と輸入する植物を入れれば輸入条件を教えてくれます。ただし、ちょっとクセ(*2)があるようなので日本語のページで見つからなければ英語のページで試したり植物名を入れずに検索したりとしてみた方が良いかもしれません。

*2 日本語の検索ページだと、ブラックサポテ、black sapote、 Diospyros nigraだと、どれも「入力した植物名は存在しません」になってしまいました。英語の検索ページだと、black sapote、Diospyros nigraで "requireing ordinary inspection"(通常の検査が必要)と表示されます。
どうも日本語のDBでは "サポテ"で登録されているようです。(ホワイトサポテは"シロサポテ"で登録されていました。)

4. 輸入に必要な書類の作成・申請、土の除去等
検疫証明書日本で「通常の検査が必要」な場合、その検査には輸出国で発行した Phytosanitary Certificate(検疫証明書→)が必要です。輸出国側で検査をし、病害虫の付着などがないことを確認したという証明書です。
また、土には害虫や病原菌が潜んでいる可能性があるので、土が着いていると輸入出来ません。そのため、土を落としてピートモス等の土以外のものに植え替えないといけません。

上記二つは輸出国側で行わなければならず、誰がやるのかが問題になります。
方法としては、その植物を販売している業者と交渉して業者にやってもらう、または代行業者を頼むということになると思います。
今回は、そもそもよく理解していない手続きを英語で人に指示する自信がなかったので、輸入代行業者にお願いしました。

代行業者を探すにあたっては、植物の輸出の経験があるところを探しました。
植物の輸入代行を謳っている業者さんのサイトを見ていると、検疫証明書の発行や土以外への植え替えを自社でやるのではなく、苗の販売元へ依頼する形の代行業者もある(多い?)ようで、輸入できるかどうかは苗の販売元次第ということのようでした。

その点、今回依頼した AmiamieAustraliaさんの様に自社で検疫の手続きや土以外のものへの植え替えをやってくれるところを探して依頼することが出来れば、輸入出来る植物も多くなるのではないかと思います。

5. 輸入のコスト
さて、気になるコストですが、やっぱり掛かります。
一万円弱の苗代が、全部で 六万円近くになりました。

しかし、高いのは検疫の費用や日本への送料なので、代行業者さんの費用はやってもらったことに比べてリーズナブルだったと思っています。

ブラックサポテ x 2-¥ 9,295
オーストラリア内送料-¥ 3,200
検疫 -¥22,500
代行業者手数料 -¥ 8,000
日本への送料 -¥14,700
----------------------------------------------------------
合計 -¥57,695


尚、検疫証明書は、学名が同じでなくても(全く別の属が何種類あっても)、数が何本でも検疫証明書は一通で済みますが、発行する国によって大分値段が変わるようです。
また、代行業者手数料や送料は、苗の大きさや本数によって変わるので、上記金額はあくまで参考と考えてください。

6. 輸送中の環境
海外から植物を輸入する場合航空機での輸送になり、貨物室の環境が気になります。映画で貨物室に押し込められて凍えるシーンを見た憶えもありますし、航空機が飛ぶ高度一万mは -40℃にもなるはずなので。

この貨物室の環境について、はっきりとした情報は見つかりませんでしたが、客室ほどでは無いにしろ加圧されており、気温も結露しないように 5℃程度に保たれているらしいことがわかりました。

寒さに特に弱い植物の場合は注意が必要そうです。


以上

  • LINEで送る

同じカテゴリー(農業)の記事
冬の後片付け
冬の後片付け(2025-05-01 08:18)

移動開始
移動開始(2025-04-25 13:26)

新茶シーズン間近
新茶シーズン間近(2025-04-24 11:01)

勝手に伐採
勝手に伐採(2025-04-22 18:25)

帯化
帯化(2025-04-20 17:07)

帯化
帯化(2025-04-20 17:06)


この記事へのコメント
こんにちは。

個人輸入について、詳しく記事にして頂き有り難うございます。
個人輸入には興味があるので、実際にされた方の話は勉強になります。
Posted by パライゾ at 2019年03月09日 09:18
こんにちは、パライゾさん。

一番大変な検疫部分が日本語メール一本で住んだので、案ずるより産むが易しでした。
Posted by utyuty at 2019年03月09日 18:36
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

< 2025年05月 >
S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
削除
植物個人輸入の防備録
    コメント(2)